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伊藤郁女

伊藤郁女

伊藤郁女

日本文化にどっぷりつかりながら西洋のダンスを学んだ伊藤郁女は、ハイブリッドな独自の表現手法を編み出してきた。異文化と異言語とのさなかで、伊藤郁女は言葉にならないものや見えないものに心を留める。ダンステアターのように、演者や自分自身の体験をもとにして、舞台上でしかできないことを浮かび上がらす。そして身体がもつ知性を頼りに、直感や本能をさぐり、原動力とする。タブー、世界の終わり、死、愛、孤独といった本質的なテーマをもとに、自発的で鋭い、ありのままの言葉が呼び起こされる。そこから伊藤郁女ならではの、敏捷で激しい、必然的な動きが生まれる。そして観るものの感情を受け入れるために、身体を空っぽにすることで、内面から生まれた言葉と振付を手に入れ、私たちの動物性や人間性について問いかけていく。

「まず何よりも、空間を動かすことを私は追求しています。自分の周りの何もないスペースを、存在させようとしている。糸繰人形を操る、人形使いの考えに似ているかもしれません。誰が糸を引いているのか、どの部分がどの部分とつながっているのかが知りたい。一つ一つが螺旋のようにつながっていて、誰が何をしているのか分からないところが面白いんです。私が完全に空っぽになれば、それぞれの人がそれぞれのものを投影できる。人を導こうなんて思ってません。踊るとき、私は脳みそで考えるんじゃなくて、身体で表現しているんです。だから、あまり理屈っぽいメッセージは避けてます。」

「舞台は懺悔のようなものです。そのたび生まれて、そのたび死ぬようなもの。」

創作作品

2021年 Le Monde à l’envers
出演 モルガン・ボニス、バスチアン・シャルメット、アドリーヌ・フォンテーヌ
初演 マルセイユ KLAPダンス館 2021年10月7日

2020年 あなた
出演 マルヴィン・クレッシュ、ジョン・ドバンド、ニコラ・ガルソー、ルイ・ジアール、デルフィン・ランソン、レオノール・ズールフリュ
初演 マルセイユ KLAPダンス館

2020年 綾の鼓
出演 伊藤郁女、笈田ヨシ、矢吹誠
テキスト ジャン=クロード・キャリエール
制作代行 アミアン文化会館
2020年 アヴィニヨン演劇祭のための創作

2019年 Wachtraum
シェムニッツ・バレエ団の依頼 ドイツにおける「フランスダンス」の一環

2018年 Is it worth to save us?
森山未來とのデュオ
初演 神奈川芸術劇場 KAAT・2018年ジャポニスムの一環

2018年 ロボット、私の永遠の愛
伊藤郁女 ソロ
初演 マルセイユ KLAPダンス館

2017年 ハートに火をつけ
伊藤郁女とテオ・トゥヴェ おしゃべりとダンスの内緒話
初演 ジュネーブ  Antigelフェスティバル

2016年 ¿Puedo Flotar?
チリ国立バレエ団BANCHの依頼

2015年 私は言葉を信じないので踊る
彫刻家の父親とのデュオ
初演 マルセイユ KLAPダンス館

2013年  Asobi
アラン・プラテル・バレエ団 Ballets C de la Bの依頼

2010年  Island of no memories
(Re)connaissanceコンクールにて最優秀賞受賞
ヨーロッパ・ダンスハウス・ネットワークEDNのModul-Danceプログラムに選定

2009年  Solos
初演 マルセイユ 国立メルラン劇場
再演 2012年 リヨン・ビエンナーレ

2008年 Noctiluque
初演 ローザンヌ・ヴィディ劇場

 

コラボレーション

2014年 いちごケーキ
共演 オリビエ・マルタン=サルヴァン
アヴィニョン演劇祭「SUJET À VIF」の一環

2012年 Plexus
オレリアン・ボリー作 伊藤郁女のための作品

映像作品

2004年  Carbon Monoxide
パリ・ポンピドゥーセンター他、アメリカの各種フェスティバルで上映。

2006年 Niccolini
出演 ジェームス・ティエレ、ダミアン・ジャレ、ニクラス・エック

2006年  The sea is calm
出演 ジェームス・ティエレ、ダミアン・ジャレ、ニクラス・エック

東京生まれ。5歳からクラシック・バレエを学ぶ。恩師は高木俊徳。18歳で新人ダンサー・振付家として「榎本了壱賞」を受賞。2000年よりニューヨーク州立大学バーチェスカレッジへ留学し、グラハム、カニングハム、ホートン、リモンテクニックなどを学ぶ。日本に帰国後、2003年に立教大学で社会学と教育学を修了。同年、日本政府より奨学金を得て再びニューヨークへ向かい、アルビン・エイリー・ダンスシアターで研修を積む。

伊藤郁女はフィリップ・ドゥクフレ、アンジュラン・プレルジョカージュ、アラン・プラテル、シディ・ラルビ・シェルカウイ、ジェームス・ティエレの作品にダンサーとして参加した後、自分のカンパニーHIMEを立ち上げ自作を振付し、またオレリアン・ボリーやオリビエ・マルタン=サルヴァンらとのコラボレーションに取り組んでいる。

伊藤郁女はまた、映像作品や絵画も手がける一方で、劇場でエドゥアール・ベールやドニ・ポダリデスと定期的に共演もしている。2015年には、SACDより新人優秀振付賞を、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受賞した。

 

舞台出演

2012年『Out of context – For Pina』アラン・プラテル

2009年『眠れる美女〜House of the sleeping beauties』シディ・ラルビ・シェルカウイ

2007年『Au revoir Parapluie』ジェームス・ティエレ

2005年『四季』アンジュラン・プレルジョカージュ

2003年『IRIS』フィリップ・ドゥクフレ 主演

 

映画

2020年『Neuf meufs』エマ・ドゥ・コーヌ

2018年『Luz』フロラ・ロー (イザベル・ユペール出演)

2015年『Ouvert la nuit』エドゥアール・ベール 2017年1月公開

2015年『La Poesia sin fin』アレハンドロ・ホドロフスキー

カンヌ映画祭・監督週間2016年度にて公開

2015年『税関史ルソー(アンリ・ルソー)』ニコラ・アウトマン

オルセー美術館依頼 ドキュメンタリー

 

舞台作品

2014年 『YUME』振付・出演  笈田ヨシ作

2014年 『ルクレツィア・ボルジア』振付

ヴィクトル・ユーゴ作 ドニ・ポダリデス演出 コメディ・フランセーズ依頼

2012年 『L’homme qui se hait』振付・出演

エマニュエル・ブルデュー作 ドニ・ポダリデス演出 コメディ・フランセーズ依頼

2011年 『町人貴族』振付

モリエール作 ドニ・ポダリデス出演

2011年 『ジキルの場合』振付・出演

クリスチーヌ・モンタルベッティ作  ドニ・ポダリデス演出

2008年 『Looking for Mister Castang』振付  エドゥアール・ベール作